人体除電の基礎は靴と床です。つまり、
静電気帯電防止の作業靴(JIS T8103)を履いて作業すること
導電性のある床で作業をすること
この2つが条件です。
この2つがそろっていないと作業場で静電気の電撃を感じたり
静電気による着火事故につながるケースがあります。
では、この人体除電の条件を阻害するものは何でしょうか。
1)床が不導体でした
2)人が不導体の上で作業していました
3)靴が不導体でした
このようなところです。
1)について
現在化学工場では異物混入防止などのために見た目のきれいな、清掃がしやすい
塗り床にされています。
はたして、その床は導電性のある(静電気を逃がす)床でしょうか?
床の抵抗は漏洩抵抗計で測定します。
床の漏れ抵抗は10^8Ω以下とすることになっております。
(静電気安全指針2007)
もしもこの値が10^8Ωよりも大きい値のときは導電性の除電マットを
使用すると良いでしょう。
ただし除電マットにもアースが必要です。
導電性マットの使用で10^7Ωオーダーが実現できます。(安心です)
2)について
化学工場では様々な化学物質を扱います。例えば色素材料、腐食性物質
せっかく見た目のきれいな床にしても、その床に色素材料や腐食性物質
をこぼしてしまったらきれいな床が台なしです。
化学工場ではそれを嫌がり床に養生をします。
はたして、その養生シートは導電性のある(静電気を逃がす)材料でしょうか?
ビニールなど不導体のシートを敷いてしまうと人体が浮遊導体(アースされて
いない導体)となってしまいます。
静電気事故の原因は、浮遊導体となった人体から放電するというケースがとても多いです。
ビニールシートの使用で10^12Ωオーダーになってしまいます。(とても危険)
このような場合、ビニールシートではなく紙で養生しましょう。
紙は導電性がありますので静電気を逃がしてくれます。
2枚重ねでも10^7Ωオーダーです。(安心です)
2枚では心もとない場合は何枚か重ねても問題ありません。(限度にもよりますが)
新聞1日分でも10^8Ωオーダー前半でした。
3)について
静電気帯電防止の作業靴(JIS T8103)を履いて作業して下さい。
静電気帯電防止の作業靴のソールの抵抗は感電防止も考慮して10^5~10^8Ωで
設計されています。
面倒くさいからと言ってサンダルでとか、スニーカーでとかはNGです。
お客様用の履き物や、長靴も注意しましょう。
この程度の工夫で明日から安心安全な現場になります。
一代技術士事務所 鈴木
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