技術士を職業にして1年が経ちました。
出帆してから新型コロナウイルスという大きな試練が待ち構えていましたが
借金することもなく、家庭にも毎月定額のお金を入れられています。
率直に今心が非常に穏やかで、経営の面白さを感じています。
節目であり今の気持ちをブログに残しておくことにしました。
100人の社長がいたら100通りのビジネスモデルがあります。
今からご紹介するのはサラリーマンが脱サラして士業(フリーランス)を職業にする上での1モデルであり、万人に通用するものではありませんが、起業する際の1年目の本質は押さえていると思います。
商品の売り方は3つあります。例えばお弁当屋さんの場合・・・
①お弁当を売る
②余った野菜をマルシェなどで売る
③教室を開いてレシピを売る
起業して間もない頃、地元の経営セミナーに通った時の先生のお話しです。
これが全てのエッセンスです。
3本の足の椅子
物事を幅広く知っていてその上で2つくらいキラーコンテンツを持っているタイプ。
士業(フリーランス)はこのようなΠ型(パイ型)のビジネスモデルが良いと言われています。
私もこのパターンを狙っていました。
しかし、1年目にこれをするのは危険だと気づきました。
1年目は広く浅くの方が良いのではないでしょうか。
いくつかの経験を経て、ビジネスの軸足は3本立てることが肝要と考えるようになりました。
私の場合は
①コンサルタント
②先生業
③自分のビジネス
この3本を軸足にしています。
1本コケでも2本収入源が残っている。2本コケても1本収入源が残っている。
足が3本あれば椅子は安定します。
①のコンサルタントは数社、お金の関係なしで社長と友人として親しくし、
さらにスポットコンサルなども登録し、経験を積みます。
②の先生業はセミナー講師、大学教員、企業研修講師など、ここでも3本軸足を立てます。
セミナー講師、企業研修講師は3つほどコンテンツを作っておきます。
私の場合は「半導体薬品の脱金属技術」、「コンプライアンス体制構築」、
「統計的品質管理」、「静電気事故防止」など
③の自分のビジネスはできることは何でもします。
私の場合は、化学物質のリスクアセスメント、省エネ診断、分析法開発、Eコマース、
農薬開発(竹)、松ぼっくりの消臭剤の開発、じゃがいも栽培、清掃業、何でもやります。
いつか自身の事業会社を持ちたいのですが何が良いかわからない状況です。
開業してから大切なこと
開業して大切なことが3つあります。
1つは収入源を構築することです。
あたり前ですが収入がないと生活ができませんし、大切な自分の会社が維持できません。
さらに大切な理解者の信頼を失うことにもなります。
ですから収入源は1番大切です。
しかし開業直後に収入は当然期待できません。私も当てにしていたモノが
全て空振りに終わり途方に暮れていた時期がありました。
その時にある先輩から教わったのが、月2万円でも良いのでちょろちょろとした収入源をいくつか持つということです。
彼は親切にその収入源の一つを紹介してくれました。
月に2万円通帳に入ることがどんなに精神的な味方になるかご理解頂けるでしょうか。
私はこれをバイトと言っています。
その後はもうバイトの虫です。
外郭団体からの依頼、○○受験指導、講演、執筆、草刈り、倉庫の片付けなんでもやります。いわゆるコンビニのバイトでも良いでしょう。
理由はただ一つです。
日本一の私の事務所の経営を安定化させるため。つぶさないためです。
2つめは不安にならない(焦らない)ことです。
それはもう毎日不安です。お金がなくなったらどうしよう、子育ては、老後は、
あと周りがあおってきます。そんなの無理だよ。サラリーマンに戻れよ。
ここでのポイントは溺れるかもしれないと言われて今溺れていないことです。
死ぬよと言われて今死んでいないことです。
つまり、将来溺れるかも、死ぬかもわからないのに、溺れたらどうしようとか、死んだらどうしようとか思ってしまっていたり、溺れたこともない死んだこともない周りの人間がわいわいがやがや言っていると言うことです。
はっきり言って周りからのガヤは「やかましいわ!」その一言です。
人間は恒常性維持機能というのがあるから現状に固執してしまいます。
こんなブラック会社辞めたいと思っても、恐怖に支配され、独立して失敗したら、
お金がなくなったらとか・・・、
現状に対する不満 < 変化に対する不安
だから行動を起こせない。。
新しいモノを得たかったら、古いモノは捨てなければならない。
ただそれだけです。
(前職は良い会社でした。不満はありませんでした。)
3つめは仲間超重要と言うことです。
独立してほどなくして気づきました。あれ?仲間がいない。家族としか話をしていない。
人と関わらない生活は心が壊れます。
私の場合、まず地元の勉強会に参加しました。内容ともかく仲間が欲しかったので
その第一回目の勉強会で同じ席だった人は申し訳ないけど「勝手に友達ロックオン」です。
同じ個人事業主なので、年下だろうが関係なしに年甲斐もなく泣き言聞いてもらっています。
次に同世代の技術士さんから製造業コンサルタント協会立ち上げの話が来たので加入させていただきました。ここでは私は一番下っ端です。
来月まで生き残りたい。来月の例会も良い報告をしたい。ここの一員でいたい。
それだけ毎月意識しています。
それから地元技術士さんとの関係。お互い現状不満型の人間なので、お互い毎回何か考えて時にぶつかりますが、とても信頼できる方です。
さらに同じく士業(フリーランス)の診断士さん集団との出会い。
診断士さんは本当に頭が良いビジネスをします。
(技術士はというと・・・ちょっとヲタクなビジネス?)
何が言いたいかというと、きっかけはともあれ家に閉じこもらず、何かしら行動を起こせば絶対何かにぶつかるということです。
そこにビジネスチャンスがあったりすると言うことです。
開業する前に大切なこと
開業する前に大切なことが3つあります。
1つは資金です。
資金は人それぞれだと思いますが300万は必要だと思います。
これは1年間遊んでいても暮らしていける額です。
私の経験上、技術士であれば1年何かしら地道に営業活動すれば、1年後何かしらの
業務があると思います。
なので仮に営業活動で終わっても生きていける額面です。
現在最低賃金は1000円です。6時間働いて6000円/日→12万/月→144万/年
なのでゼロと言うことはないと思いますが、1年間は遊んでもということで300万を
設定しました。
よく言われることで、「開業資金は飲みに使え、人脈形成に使え」
オーバーな言い方かもしれませんが、私は、結構当たっているかなと思います。
そもそも行動しなければチャンスはないからです。
それから「開業資金ははじめ大きくなくなるが、残り3割のところで減らなくなる。」
これは私もそうでした。
私の場合は100万円を自由に使っても良いお金と決めました。だいたい電車代、ガソリン代
セミナー等の参加費、懇親会費に使い、残り30万はいまだに通帳に入っています。
2つは家族への説明です。
独立への第一の理解者は家族ですので家族に説明なしに独立するのは家族への
信用失墜行為です。
あなたの好きなようにしなさいと言われても、開業当初は気まずい関係になるのは
必至だと言うことも覚えておいた方が良いです。
できれば経営計画書のようなものもあると説明がしやすいし、自分の考えを
言語化できます。経営計画書は良いツールだと思います。
3つめは周りへの連絡です。
独立しました→仕事ください
ではお話になりません。
独立したい→協力して欲しい
このスタイルが良いと思います。
決裁権者は社長でしょうから、相談するのはやはり社長がベストです。
社長はチャレンジする者、これから対等である者を拒みません。
かつて自分がそうだったときのように。
だから少なくても自分のビジネスが安定するまで協力してもらえるように
要請しておくことは大切だと思います。
自身はこれが不足しておりました。
人は経験に学び経験していないことは他人事
開業してから気をつけなくてはならないことが3つあります。
最も気をつけなければならないのが営業妨害です。
ヒヨコ狩りとも言うようで、そんなの上手くいかない、サラリーマンに戻れ
直接圧力、SNSでの悪口、平たくは業務威力妨害ですね。明らかな犯罪です。
これは心が折れます。ただでさえ不安な時期なのに、周りからそう決めつけられると
そうなのか、自分が間違っていたのか、本気で考えて寝込むときもありました。
そこでのやばい人を見分けるアクションプランですが、
人は人相に何かがにじみ出るものです。
たとえその業界で有名な人でも、成功者でも、この顔嫌いと思ったら付き合いをやめた方が良いです。絶対。なぜなら体がDNAレベルでリスクを回避しようとしているサインだからです。これはいろいろなビジネス書でも取り上げられていて、実際開業後友人の社長さんからも聞く話です。
2つめは素人の善意のアドバイスです。
これはたちが悪いです。
こうした方が良いよ。こうすべきだよ。どこどこの誰々がね・・・。
ビジネスの成功の基本はビジュアリング、つまり同業で成功している人に近づきまねること。
果たしてあなたに親切に独立後のアドバイスしてくれているアドバイザー的な
人はあなたと同じ仕事をしている成功者か、あなたの目標かと言うことです。
その方がサラリーマンだったら論外です。
理由はあなたの仕事に対して素人だからです。聞いても良いけど信じるのはどうでしょう。
冒頭に書きました。100人の社長がいたら100通りのビジネスモデルがあります。
1年コンサルタントして、セミナー講師しましたが全く自分に対しても同じこと。
1,2度会ってお客さんと全く同じ目線にはなれないし、どこか仕事と割り切って自分の尺で落としどころをつけます。(誤解のないように、手は抜きません!)
先ほど仲間超重要と書きましたが、おそらく仲間は同業の方だと思います。
仲間は経験に基づいたアドバイスをします。だから聞く価値があるのです。
素人は経験がないので教科書通りのことしか言えません。
そして世の中の専門家と呼ばれている人は私を含め意外に素人です。
ここでの信用して良いかどうかのアクションプランですが、その人がサラリーマンかその分野で成功している人かどうか判断してアドバイスを聞くです。
そしてアドバイスは1人を信じず多角的に360°方向で聞くと言うこと
否定から入る、自分の意見を言う、本当のコンサルタントならそんなことはしません。
3つめは甘い話です。
冷静になって考えればわかるでしょう。楽して儲かる話などありません。
開業したら守ってくれる人はいません。自分で自分を守るしかありません。
仕事回すよ。儲かるよ。これ買いませんか。
全部ウソ
2期目の抱負
3本の足というのは保険と考えても良いでしょう。
まず最初から上手くいくことはありません。日々勉強が必要です。
もし最初から上手くいったという武勇伝はビギナーズラックかもしれません。
1年目の売上は目標の1/3でした。
つまり2/3は見積もりが甘いと言うことです。
その見積もりの甘さを修正して行くつもりです。
3本の足の①と②は間違いなく向上すると思います。
ですから③をじっくりやっていきたいと思います。
3本足の経営は人の3倍行動しなければ大変です。
1年目はそれくらいした方が良いと思いますが、2年目は少し方向を絞る必要があります。
最後に、私は独立、開業、脱サラの推進派の人間ではありません。
サラリーマンはサラリーマンの良さがあり、独立は独立の良さがあります。
ただ、
私の場合、独立していた方が自分の技術士としてのビジネススタイルに合っている。
私が技術士としての目線で、技術士としての矜持を胸に仕事をすることで、確実に世の中は良くなる。
それだけのことです。
一代技術士事務所 鈴木
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