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技術士とは
技術士とは、技術士法に基づく国家資格であり、有資格者は技術士の称号を使用し登録した技術部門の技術業務を行うことができます。技術士は、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある最高位の国家資格であり、この資格を取得した者は、科学技術に関する高度な知識、応用能力および高い技術者倫理を備えていることを国家によって認定されたことになります。
技術士法第1条にはこう定められています。
「この法律は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もつて科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする。」
技術士試験には、21部門の専門分野があり、受験する技術者の専門部門で受験します。私の合格した平成30年度の技術士二次試験統計(日本技術士会公表)を見ますと、全21部門で25,914人が受験し、合格者は2,355人とその合格率は9.1%でした。この数字を見ても非常に難しい国家試験と言えます。
試験に合格を果たし、文部科学省に登録すると技術士を表示できるのですが、それだけではありません。技術士には、その瞬間から法が定める義務と責務が課せられるのです。
信用失墜行為の禁止(技術士法 第44条)
技術士等の秘密保持義務(技術士法 第45条)
技術士等の公益確保の責務(技術士法 第45条の2)
技術士の名称表示の場合の義務(技術士法 第46条)
技術士の資質向上の責務(技術士法 第47条の2)
まず、技術士には秘密保持の義務があります。
技術士の秘密保持義務においてその違反の罰則は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(技術士法 第59条)であるのに対し、弁護士のそれは6月以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法134条1項)でありますから重いものとなっています。このことは、秘密事項が漏えいした場合、その経済的なダメージが計り知れないという側面を有していることに起因していると言えます。この義務は、技術士でなくなった場合にも適用され、徹底した秘密保持義務が課せられています。
次に、技術士は、「資質向上」の責務を有しています。
これは、「常に勉強、研究を怠らず、自分が属する技術部門の高い専門性を維持し磨きあげる」ということです。然るに、技術士は常にコストをかけてでも勉強、研究に励み、最新の技術に立ち遅れることなく努力と時間を費やしているのです。クライアント様に高品質な技術サービスを提供するための「時間とコスト」でもあり、また技術士が長年積み上げてきた知識や経験を最大限に活用し技術支援するため、技術士各々が示している技術士報酬額となるのです。ご理解を頂けますと幸いです。
さらに、技術士は高い職業倫理を有し、公益を確保しつつ業務を進めます。
確立した技術や製品の欠陥によって、多くの人々が被害を被ることがないようにと最大限の注意を払うという業務です。当たり前のように聞こえますが、社告、リコールはなぜ起こるのでしょうか。例えば開発段階で誰も気づかない問題に気づいた場合、そしてその問題が公益を害すると判断した場合は、私たち技術士は明確に指摘しその問題を解決するための修正、改善、設計変更等を助言します。これが私たち技術士の有する「公益確保の責務」です。また,社団法人日本技術士会では技術士倫理規定を定めています.
科学技術の向上と国民経済の発展のため、技術士は技術課題に真摯に向き合い、そしてクライアント様との良好なコミュニケーションのもと、課題解決に向けて最良な成果が得られるよう日々努力しています。
最後に技術士の活用は、自前主義の崩壊、少子高齢化、労働人口の減少、製品ライフサイクルの短期化等に対応するため、より一層のスピード感をもって新たな価値を持つ製品、サービスを提供することが求められている今、必要に応じた専門技術・ノウハウなどを取得できる、プロジェクトを効率的、経済的に遂行ができるといったメリットが期待されます。
公益社団法人 日本技術士会ホームページ